
昨今、ラッシュリフト(まつ毛パーマ)の人気が急上昇し、お客様の需要や関心が高まっています。その中で、理想的な仕上がりを実現するためには、使用するセット剤の成分、特に「還元剤」に対する理解が欠かせません。セット剤に含まれる還元剤の種類によって、まつ毛パーマの仕上がりが大きく変わるため、その違いをしっかり把握しておくことが大切です。そこで今回は、まつ毛パーマに使用される還元剤について詳しく解説し、サロンでのセット剤選びに役立つ情報をご紹介します。
INDEX
まつ毛パーマの還元剤とは?

まつ毛パーマに使用する還元剤は、毛髪と同じように、まつ毛のケラチン結合を切断することによってカールを形成します。還元剤には種類があり、誤った還元剤を選んでしまうと、まつ毛が傷んだり、カールがうまく出なかったりすることがあります。
まつげパーマの還元剤はシステアミン・チオグリコール酸アンモニウム、チオグリセリンの3種類が主流

毛髪用の還元剤にはさまざまな種類がありますが、まつ毛に使われる還元剤としては主にシステアミン、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリセリンが挙げられます。全て還元剤ではありますが、原料としての分類にはそれぞれ異なる点があります。またパーマ用の製品には医薬部外品と化粧品があります。この、医薬部外品や化粧品の分類は、還元剤の種類や配合量によって変わります。医薬部外品の薬剤は薬機法で頭髪にのみ使用することが認可されており、まつ毛用としては、認可されていません。サロンでのまつ毛パーマの施術は原則化粧品登録されたもののみ使用可能です。
医薬品成分に該当する「システアミン塩酸塩」について
関連記事:システアミン塩酸塩不使用のラッシュリフト剤で化粧品の取扱い変更に対応
システアミン・チオグリコール酸アンモニウム、チオグリセリン還元剤の特徴
還元剤の還元力を表す指標として、以下のようなものがあります
1. pKa値(酸解離定数)
還元剤の酸性度を示す指標で、値が低いほど強い酸性を示し、還元力が強い傾向にあります。
チオグリコール酸(TGA):pKa ≈ 3.8(強い還元力)
システアミン:pKa ≈ 8.2(比較的穏やかな還元力)
チオグリセリン:pKa ≈ 9.3(さらに穏やかな還元力)
2. 酸化還元電位(E°)
酸化還元反応の起こりやすさを示す値で、より負の値を持つほど還元力が強いことを意味します。例えば、チオグリコール酸は比較的低い酸化還元電位を持ち、強い還元作用があります。
3. 分子の大きさと浸透性
分子が小さいほど毛髪やまつ毛の内部に浸透しやすく、還元力が強く働きます。
システアミン は小さな分子で、浸透しやすく、マイルドな作用を持つ。
チオグリセリン はやや大きめの分子で、さらに穏やかに作用する。
4. pH値
還元剤の効果は pH環境によって大きく変化 します。一般的に、
アルカリ性(pH8~9)では還元力が強くなる。
酸性(pH5~6)では還元力が弱まり、優しく作用する。
まつ毛パーマでは、まつ毛に適したpHと還元剤を選び、ダメージを抑えつつカールを形成することがポイント です!
項目 | チオグリコール酸(TGA) | システアミン | チオグリセリン |
---|---|---|---|
pKa値(酸解離定数) | 3.8(酸性が強い) | 8.2(中程度) | 9.3(穏やか) |
酸化還元電位(E°)[V] | -0.78 ~ -0.85(強い還元力) | -0.65 ~ -0.75(中程度) | -0.50 ~ -0.60(穏やか) |
分子量 [g/mol] | 92.12(小さい) | 77.15(最も小さい) | 122.16(大きい) |
還元力(相対値) | 10(最強) | 6(中程度) | 4(穏やか) |
浸透性(分子サイズ) | 高い | 非常に高い | 低い |
適したpH範囲 | 8.0~9.5(強アルカリで作用) | 7.5~9.0(適度なアルカリで作用) | 7.0~8.5(穏やかに作用) |
特徴 | 強い還元力・剛毛向け・ダメージリスクもある | 浸透性が高く、柔らかい仕上がり | 保湿性があり、低ダメージ |
まつ毛のケラチン構造について

毛髪に含まれるケラチンには、大きく分けてS-1ケラチンとS-2ケラチンの2種類があります。
それぞれの特性は以下です。
ケラチンの種類 | 特徴 | 主な部位 | 水分保持力 | パーマの影響 |
---|---|---|---|---|
S-1ケラチン | 柔らかく、S-2ケラチンより親水性が高い | 表面、軟毛 | 高い | 還元されやすく、形状変化しやすい |
S-2ケラチン | 硬く、疎水性が強い | 内部、硬毛 | 低い | 還元しにくく、強い還元力が必要。元の形を維持しやすい |
✅ S-1ケラチン: 毛の柔軟性に関与し、特に軟毛やまつ毛に多い。
✅ S-2ケラチン: 毛の強度や弾力を決める成分で、硬毛に多く含まれる。
S-1ケラチンとS-2ケラチンへの還元剤の作用
S-1ケラチンとS-2ケラチンでは、それぞれ適した還元剤が異なります。
ケラチンの種類 | 特徴 | 適した還元剤 | 理由・効果 |
---|---|---|---|
S-1ケラチン | 柔らかく親水性が高い 軟毛やまつ毛の表面に多い | システアミン(pKa ≈ 8.2) | ・比較的穏やかに作用し、ダメージを抑えつつカールを形成 |
チオグリセリン(pKa ≈ 9.3) | ・S-1ケラチンに優しく作用し、しなやかな仕上がりになる | ||
S-2ケラチン | 硬く疎水性が強い 硬毛や毛髪の内部に多い | チオグリコール酸(pKa ≈ 3.8) | ・強力な還元力で、S-2ケラチンの硬い結合をしっかり還元 ・しっかりしたカールを形成し、形状保持力が高い |
ポイント
S-1ケラチンには、比較的マイルドな還元剤(システアミン・チオグリセリン)が適している。
S-2ケラチンには、強力な還元剤(チオグリコール酸)が必要になる
ラッシュリフト(まつ毛パーマ)施術における還元剤の選び方

まつ毛パーマを成功させるためには、まつ毛の特性を理解し、適切な薬剤を選ぶことが重要です。
まつ毛のように比較的細く、短い構造の部位では、S-1ケラチンが多く含まれていることが知られています。
そのためシステアミン主成分のセット料がおすすめです。
まつ毛がしっかりしている場合(太い毛)は、S-2ケラチンが多く含まれている場合もあり、その場合は、チオグリコール酸が最も有効です。
しかしチオグリコール酸は、還元力が強いため、毛の状態を見極めて使用することがおすすめです。
✅ まつ毛パーマ・軟毛向け(S-1ケラチンが多い)
適した還元剤: システアミン、チオグリセリン
仕上がり : 柔らかく、弾力のあるカール
✅ 硬毛・しっかりカールを作りたい場合(S-2ケラチンが多い)
適した還元剤: チオグリコール酸
仕上がり : しっかりしたカール、持続性が高い
✅ ダメージ毛・乾燥毛向け
適した還元剤: チオグリセリン
仕上がり : しっとりとした柔らかい仕上がり
フーラストアおすすめのまつ毛セット剤
還元剤には高純度のシステアミンを使用し、他の還元剤よりも分子量が小さく、驚くほどスムーズに浸透!
まつ毛の状態に応じてしっかり作用し、軟化ムラを最小限に抑えた設計です。従来品よりも扱いやすく、仕上がりのクオリティが向上!
初心者でも簡単に美しいカールを実現でき、上級者のこだわりにも応えるプロ仕様!
今までのセット剤に満足できなかった方も、ぜひ一度試してみてください☆

まとめ
どの還元剤を主成分として使用しているかによって、まつげパーマの仕上がりは変わります。
これらの違いを理解することで、自分に合ったセット剤を選びやすくなるかと思います。
現在は、多くのメーカーからさまざまなセット剤が販売されており、システアミンとチオグリコール酸など、両方を配合したタイプが主流になってきています。
それぞれの還元剤の特徴を把握し、最適なセット剤選びの参考にしてください。
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